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interviewジブンらしく行こう。同志社で。

―大学時代は自分の価値観や、個性について迷う時期でもあると思います。武田さんの考える“個性”とは何でしょう?

私は人物像を描くとき、登場人物同士の違いによって個性をつけていきます。その人らしさって、他人と比べたときに明確になる差異のことだと思うんです。自分はどんな人間かを一人で考え続けるより、自分と他人の違う点を見つめる方が気づきは多いのかもしれないですね。時々、価値観がとても似ていて居心地がいい友人と一緒にいると、自分のコピーみたいに全部分かってくれるんじゃないかと思ってしまうんですが、それは自分の理想を押し付けているだけで、その人自身を見ていないなと反省することがあります。全ての人間は違っていて、どんなに似ていても“私とあなたは他人”だということを常に意識しなければ、と思っています。

―デビュー後、大学生活と執筆活動の両立に苦労されましたか?

2年次に出版された「響け!ユーフォニアム」のアニメ化が3年次に決まり、その続編の執筆と塾講師のアルバイト、サークルの夏合宿の幹事が重なって、とても忙しかったです。ただ、学業との両立に苦労は感じませんでした。学問そのものが好きだったので。日本美術の研究がしたくて、同志社大学に入学したので、授業は全部面白かったです。勉強もサークルも好きなことばかりで、小説を書く自由な時間も多く、友達もでき、本当に楽しい大学生活でしたね。

―今の仕事に生きている在学中の経験は?

大学時代の経験がまるごと財産です。私の場合、経験した全てが執筆の肥やしになります。授業で学んだことも、社会人になってからは触れる機会が少ない学問だと思います。仕事をしていて、「美とは?」と問いかけられることも考えることもなかなか無いですよね。概念的なテーマも学べて良かったですし、絵画や広告、音楽、映画など、物を捉えて表現する技術的な知識も小説に活かされています。特に、美術作品を言葉で表現する作業は、執筆にとても役立っていますね。大学生の頃は吸収力もあったし、何事にも貪欲でした。
どんな知識や経験も、手にした人が活かそうと思えば役立つし、無駄だと思えば何の役にも立たない。私はそう思います。
あと、大学時代に出会った人には影響を受けていますね。ゼミの教授には進路相談にも乗っていただきました。もともと兼業作家を目指していたので、就職活動もしました。当時はなかなか大変な状況でしたね…。ありがたいことにアニメがヒットしたこともあって、会社勤めをしながらの執筆は難しい状況になり、専業作家として活動することに決めました。

―作家活動をしながら就職活動もされていたとは、驚きました。

3年次には周囲の友人と同じように就職活動しましたよ。当時はたくさん悩みましたね(笑)。決まった方法に則って、エントリーをして、面接をして、お祈りメール(不採用通知)が届いて…自分の価値を査定されている感じ。認められないと、とても辛い。この方法しか、このレールしか選択肢が無いという意識に陥りやすいですよね。大学や作家の仕事で出会った人に就職活動について相談した時、生き方っていろんなルートがあるんだなって思ったんです。
多くの人が乗っているレールを選べば、確かに結構安全な駅まで連れていってくれる。だけど、自分が降りる駅が分からないまま流されてしまうと、どんどん辛くなる。辛くなった時、自分がどうしたいのか見極めるためにも、ビジョンを持つことが大事だと思います。脱線しても自分の敷いたレールに戻ってこられるはずだから。

―卒業して2年、作家としての活動はいかがですか?

出版社から仕事のオファーもいただいていて、いろんな企画を考えています。好きなことを仕事にしているので楽しいですが、ゴールが見えなかったり、思い通りに筆が進まなかったり、執筆中は辛いことも多いです。人間の悪い側面を描こうと思うと、自分自身の嫌な部分を考察することになるので、自己批判につながることもありますし…
でも、作品を書きあげた瞬間、執筆中の苦労も楽しかった記憶に変換されちゃうんですね(笑)。自分が書いたと思えないくらい、いい小説が出来上がった時は感動します。出版社の方々や、読者の方から作品に対する反応をいただくと、やりがいを感じます。本は誰かに読んでもらって初めて価値が生まれるものですから。
今後はジャンルを絞らず挑戦していきたいと思います。サスペンスやミステリー、絵本や、ゲームのシナリオとか。今は色々と抱えているので、しばらくは小説一本ですが、将来的にはやりたいこと全部よくばっていきたいですね。

―新入生へメッセージをお願いします。

大学時代にしかできないことをたくさん経験してください。その経験がきっと人生の財産になるはずです。価値観を共有できる友達や仲間、あるいは異なる価値観の人にたくさん出会えるのも大学時代の魅力です。その出会いの場として、クラブ・サークルも一つの候補ではないでしょうか。サークルだけでなく、アルバイトや学科やゼミなど自分の居場所をいくつか持っておくのも、いいと思います。

あとは、先にも言いましたが、ビジョンを持つことが大切。私自身、1年次に年間6作品をコンクールに応募するという目標を立て、最初に応募した作品がデビュー作となり、今の自分があります。自分のビジョンを描いておけば、迷った時に道標となってくれるはずです。
4年間はあっという間。どんな経験も未来に活かそうという思いを持って、悔いなく充実した大学生活を送ってください。

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